渡辺明竜王・王座 vs 橋本崇載八段

 A級順位戦では6期ぶりだという二十代対局。後手橋本八段がいままで採用してきたノーマル三間飛車を止め、角交換振り飛車を選択。渡辺竜王は手に乗って固める方針で4枚矢倉に固め(竜王はここらへんの手作りが非常に上手い)、後手は飛車交換からの受けやすい展開を作る… と思っていたら、飛車角を打ち込まれ、あわや受け無しのピンチに。一時は驚異的ともいえる粘りを見せて受け続けるも、馬取りを受ける▲36銀をみて早々と投了。批判はどうしても集まると思うけど、内容的には止むを得ないというところ。先手の攻めはほぼ切れない状態だし、先手陣は4枚矢倉が全く手つかずで、取り立てて有効な攻めも無いというのが痛い(飛車が敵陣に打てればまだやりようもあるのかもしれないけど、それも望めない感じ)。

 後手角交換振り飛車はフラッと指せる戦法ではないって、つくづく思う。これを指している棋士ラクに勝っているイメージが無い。ただ、この将棋に関してはそういう技術の問題云々じゃないのかも知れない。あくまで多分だけど、何かトラブルを抱え込んだまま対局に臨まなければいけなかったとか、そういうことだったのかな、という印象。