へっぽこ自戦解説。

http://kiftwi.net/r/ngLjMc7_

コメントを付け忘れたので、その代わりに。我ながらへっぽこな将棋です(苦笑)。

2 「2手目▽32飛」と呼ばれる作戦。元々は後手石田流の作戦として今泉健司三段(当時)が創案。個人的には好んでよく指すんだけど、経験が求められる将棋ではあると思う。
4 佐藤康光九段による升田賞受賞の新手。先手有利とされた乱戦策を消している反面、▲24歩から▲21飛成の進行の際に金への当たりが比較的強くなっている側面もあり、また、石田流よりも角交換振飛車に進むことが増えたように思う。石田党の棋士は4−3戦法を使っているイメージ。
7 角道を止められる。相手の得意を受けて立たず消極的かというとそういうわけではなく、先手が穴熊左美濃などの持久戦を指向する場合に考えられる手順。
8 さすがに上がる。
10 向かい飛車にするのは以前戸辺誠六段の解説していた方法を元にしてるんだけど、不急かも知れない。三間飛車を含みにして▽54歩〜▽53銀を先にしても良いような気もする(そういう実戦も見たことがある)。
15 放っておけば▲45桂で両取り。初歩的な狙いだけど、普通の振り飛車は相手を見なくなりがちなぶん、注意しないといけない手。
16 ①▽64銀 ②▽44歩なども考えられる。①は▽74歩から▽73銀で大野美濃、▽75歩〜▽72飛などの袖飛車を含みにする作戦。ただし本譜は相手の右銀が左に向かうことが考えられるため選びにくい。②は主張を消して消極的なようでも相手が穴熊でなければ十分に考えられる手。本譜は角頭をガッチリ受けながら、頃合いを見て▽52飛と中飛車に戻す含みがある。
21 ▽15角を消した手で、「居飛車の税金」などと呼ばれる手。同じ相手のときに▽15歩から仕掛けるということを試みたけど上手くいかなかった。やっぱり相手にしないのが正解なんだと思う。
24 普通に美濃囲いへ。持久戦に付き合うのは手損の後手が得とは思えない。
26 様々な含みのある手。狙いとしては▲46角〜▲74桂を消しているほか、高美濃や木村美濃への組み替え、攻めとしては▽63銀から中央への活用、さらに▽63銀〜▽74歩〜▽72飛の袖飛車、▽65歩の突き捨てや交換など。
27 さらに深く囲うことを明示した手。穴熊か、銀冠か。
28 とりあえず様子見に端を打診する。
29 応じなかったということで、穴熊の可能性が高い(100%ではない)。▲96歩なら▽52金左から固く構えるつもりだった。
30 もう一歩突く。将来の端攻めと、相手に▲98香を上がってもらったタイミングで攻めたい、要するに手待ちの意味もある。
31 ▲78金もあるところだと思う。
32 左金が気になるところではあるけど、▲99玉〜▲88銀と囲われるとどんどん厄介になる。
37 中飛車では頻出する「手裏剣の歩」で、▽同飛は▲45桂。通常の中飛車は早い段階で▽51飛が入るので、なかなか実践としては現れにくい側面もある。
41 たぶん悪手だが、本譜は100%咎めたとは言い切れなかった。▲46銀▽44角▲45桂▽32金みたいな進行が普通だと思う。
46 手順に歩得を果たし銀を手持ちにし、後手不満なし、というところだと思う。
47 局面として▽同歩と取る歩では無い。駒の連携を作る意味で▲78銀とかなのかなぁ、と思う。
48 ▽64歩からの狙いを実行。
52 以下、▽49角を徹底して見逃す(相手が▲27飛と上がってくれたために発生していた手筋だった)。以降もなんとか繋げようとするも、攻めのスピードが落ちはじめ、正直なところ辛いイメージだった。
70 ここで端攻め。両取り逃げるべからずで行ったものの、少々リスキーな選択だったと思う。後で「普通に▽51金左でも…」と言われた。
74 起死回生の詰めろ桂取り。
75 相手が詰めろに気づかず、以下即詰み。代えて▲86角▽同飛▲同歩▽53角▲32と▽同金▲21飛成▽31金▲11竜▽76桂▲87玉▽68銀が考えられた進行でしょうか。

LSPA「日本将棋連盟による女流棋戦からの排除行為について」について

http://joshi-shogi.com/lpsa/news/kyukoku_20130408.html
 以前まではまだはっきり主張したいことがあり、その解決のために行動を起こしている感じでしたが、今回はその主張が文章から消え去り、たぶんこれから起こす「具体的な行動」のために世論を得ようとしている印象でした。
 以下、一部を引用しながら、読んだ印象を書きます。

 先ごろ発表された第35期霧島酒造杯女流王将戦の予選組合せで、
当協会所属棋士のうち石橋幸緒四段と渡部愛3級の2名が排除されました。

 経緯を簡単に書くと、石橋女流四段は渡部女流3級に関する処遇を不服とし、LSPA代表理事としてマイナビ女子オープンの契約解除を通告、また対局者としてマイナビ女子オープン戦の対局を放棄。その後、将棋連盟(以下、連盟)との交渉も不調に終わり、対局放棄のペナルティとして石橋女流の連盟棋戦についての事実上の無期限出場停止、また渡部女流の処遇もアマチュア同様のまま。

日本古来の文化振興を標榜する公益社団法人日本将棋連盟(以下、「連盟」とする)が、
同業の公益法人である当協会に対して、永くに渡り陰湿ないじめ・業務妨害行為を
繰り返していることは、プロ棋士をはじめスポンサーや報道機関関係者を含めて
将棋界に接点のある多くの関係者は認識していることと思われます。

 LSPA側の発表としていくつかは知っておりますが、渡部女流の件で将棋連盟と交渉しているあたりで、その件は渡部女流のためにある程度水に流しているものだと思っておりました。しかし、交渉が不調に終わったため、今回また引っ張りだしてきたという印象です。

 本件に於ける表面事象は、去る1月のマイナビ女子オープン準決勝戦の前日に当協会所属棋士石橋幸緒四段が対局断念を発表したことに連盟が反応したことによるものです。
 しかし本質と実態はその1局の対局の問題ではありません。
過去からの業務妨害行為、名誉棄損行為、強要、脅迫、自治権侵害等、数え切れないほどの
連盟側の不当行為があったうえで、苦渋の決断として先般の事象発生があるのです。

 ここが一番看過できない。対局拒否は前述した通り、渡部女流の処遇を巡って、マイナビと連盟に対して行われたもののはずです(引用中で触れられている「不当行為」は経緯としては二次的なものです)。対局拒否の理由を都合よくすり替えてはいないでしょうか。文章全体としても、渡部女流のことがわずか2行しか触れられていなかったことが残念です。

 前記の女子柔道界問題でも被害者が所属機関に訴えたが叶わず、その上部団体に直訴して、かつオリンピック誘致に差しさわりが出るに及んで、初めて事態は改善に動き出したかに見えます。
 学校のイジメ問題もまたしかりです。被害者が学校に訴えても見て見ぬふり。教育委員会
言っても同じ。最後に警察権力が動き出してはじめて事態改善に動き出す有様です。
 繰り返しになりますが女子将棋界の問題も、これらと全く同じ構図なのです。

 「将棋界」というものは一つの学校でも選手団でもなく、連盟やLSPA、詰将棋連やアマ連といった団体を含め、それぞれ別個の団体です。連盟がLSPAにちょっかいを出したことが業務妨害であったとしても、いじめやハラスメントというのとは違います。業務妨害を訴え出るのは良いのですが、女子柔道や学校のいじめの例を持ち出すのは違うと思うし、事態に詳しくない人間の同意を得ようとするための牽強付会に映ります。

 また、これら問題については既に公的機関の察知するところとなって現在調査が進んでいると
聞き及んでおります。将棋界の健全な発展のため、スポンサー各位ならびに報道機関各位には
賢明なるご判断を心よりお願い申し上げます。

 LSPAがよく使う連盟・スポンサー(報道機関含む)への「脅し」の言辞。ただし以前は「公正取引委員会」と言っていたものを「公共機関」と改め、「被害者として聴取を受けている」と言っていたものを「現在調査が進んでいると聞き及んでいる」と表現を改めたことが気になります。

 なお、今後の具体的な行動につきましては別途公表の予定ですが、
取り急ぎ今回の事象についての事実関係と背景等をご報告させて頂きました。

 「具体的な行動」というのはおそらく、裁判所や「公共機関」への告訴、LSPA全棋士の全連盟棋戦ボイコットが考えられます。提訴は連盟でなくても想定されるところではありますが、ボイコットは連盟・スポンサーからの逆告訴も考えられるところです。

 ただし、それによって何を要求しているのかが、今ひとつ理解できません。文章を見る限り、石橋・渡部両女流の対局権限を与えるだけで事が収まるようには到底思えないのですが。

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 気になったのは、渡部女流3級がこれからどうするのか。最終的には彼女の人生ですが、個人的に、もし彼女が自分の娘だったら、現状は間違いなく将棋連盟への移籍を薦めます(女流3級からスタートするにしても研修会に入るにしても)。今週の「週刊将棋」に彼女の将棋が紹介されていましたが、彼女が言う「タイトルが取れる女流棋士」になるには、男女問わずもっと強い人と指し、男性プロ棋戦の記録係を務めたりといった経験の積み重ねがもっと必要なんじゃないかと、(所詮素人の感想ですが)そんなことを思いました。ただもちろん、彼女は彼女でLSPAに強い愛着もあるでしょうし、難しいところです。

LSPA発表「2月22日の日本将棋連盟会見と声明について弊協会の見解」について

http://joshi-shogi.com/lpsa/news/kenkai_20130227.html

 取り急ぎですが。上記リンク先を読むかぎりでは、LSPAが連盟側の「提案」(添付1)を誤読しているように思いました。

 連盟の「提案」というのは大雑把に言えば

① マイナビへの謝罪
② 連盟との友好関係の表明
③ 女流棋士認定基準について協議の実施

条件に
④ 渡部愛女流3級の特例認定を行う

 ということなのですが、それをLSPA側が

2月16日付の谷川会長名義書面(添付1参照)の通り、
女流棋士認定の共通基準について協議する」
「弊協会所属の渡部愛については、過渡的・暫定的な取り扱いを定め、柔軟な対応をする」
という、ご提案をいただきました。

 とあるように、条件節と主節で結ばれている②と④を並列して解釈している。特に④は①②③がなされなければ行われないと連盟の文書ではなっているのに、これでは無条件で④がなされる、ということになってしまう。

 さらに添付2(LSPA側の回答書)を見ると、

 なお、これらの協議(引用者註・②④)が軌道に乗り、双方が信頼関係を醸造できることを前提に、株式会社マイナビへは真摯かつ誠意ある対応を適切にさせていただく所存です。

 と、「②④を条件に①を行う」ということになってしまっている。これはさすがにLSPAが将棋連盟の「提案」を受け入れた形にはなっていないと思います。

 さらに言えば、添付1は(たぶん相手を逆撫でしないよう)「提案」とはなっておりますが、これは「最後の機会」とあるように明らかに最後通牒的な性質の「要求」。差押予告などと同じで、文書を出した側の要求が受け入れられない場合、次のステップ(差押予告の場合なら差押)に進むという含意があります。今回のケースでいえば、和解に向けた交渉の打ち切り、ということだと思います。

よくわからないLSPA契約解除騒動について、よくわからないなりに考えてみる。

* いちおう新聞や一次情報等をもとに書いていますが、よくわからないなりに書いているので、事実誤認もあるかもしれません。その点を踏まえていただければ幸いです。

1・経過
① 2012年7月にLSPAが渡部愛を独自基準による女流3級としてプロ認定、他の女流棋士と同様の扱い(主要棋戦への参加等)を求める。
② 将棋連盟はLSPAとしてのプロ認定を尊重するものの、連盟の関わる棋戦の参加のためには(連盟における女流棋士資格要件となる)研修会の卒業が必要と文書連絡。LSPAは「自治権の侵害」であるとして文書にて拒否。以降、面談による調整等は行われていないようす。
③ LSPAはマイナビやリコー等の棋戦スポンサーに対して同様の要望。しかし各スポンサーはお門違いだとして判断そのものを拒否、連盟との調整を促す。
④ 2や以前の経緯からかLSPAは連盟との話し合いを行わず(リコー担当者の発言より)、折り合いがつかないことから、契約更改の時期に入っていたマイナビは最終決定として次期以降のLSPAとの契約断念を通知。
⑤ LSPAは渡部と連盟所属の女流棋士とのあいだに待遇差別があるとして今期のマイナビオープン契約を途中解除、次期マイナビオープンについての契約を行わない旨通知。記者会見を行い、代表理事でもある石橋幸緒女流四段は1/30にあった同棋戦の対局を「断念」。新聞等でも報道され、問題が表面化。
⑥ 日本将棋連盟は上記対局を「棄権」による不戦敗とし、業務妨害として法的措置を弁護士と検討、また、契約解除通知は無効、女流棋士制度の歴史的観点から2の立場を譲れないとする見解を記者会見にて発表。
⑦ LSPAはネット上で⑥の経緯・背景を説明。(時期不詳だが)合同の女流棋士育成制度を作ろうとしたものの連盟に拒否されている、将棋連盟による執拗な妨害工作が行われている等、連盟とLSPAが友好関係では無いことを示唆する主張を行う。また、マイナビへの契約解除通知文書をpdfファイルにて公表。マイナビを「不平等で偏頗」と批判する内容であり、また、連盟所属の棋士の実名を挙げて比較したうえで、渡部やLSPAが差別的扱いを受けている点を強調。
⑧ 今回の件について、朝日新聞日本経済新聞各担当者が新聞・ツイッター等を通じて両者の和解を促す意見を発表。リコー担当者がツイッターにてLSPAの行動についてスポンサーやファンへの裏切り行為だとして批判。
(文中敬称略)


2・気になったポイント
① 連盟が自身の機関での再認定を求めた点について
 一度LSPAで認定している以上、再度連盟で認定を、というのは二度手間だし、たしかに承服しかねると思う。ただ、(連盟のほうから言い出すことは難しいとはいえ)渡部さんの実力を考えれば例えば特例措置などの譲歩案、またこれをきっかけとした(所属による不公平をなくすための)棋士規定の調整など、そういう前向きな話し合いの機会は設けて良かったはず。こういった大切なことを文書のやりとりで済まされてしまったというのは疑問。
② スポンサーにプロ認定を認めてもらおうとした点について
 リコー・日経各担当者が言う通りで、それをスポンサーが決めることは普通しない。逆にスポンサーがプロの認定基準について権限を持ってしまえば、それこそスポンサーによる将棋界への「自治権侵害」になってしまう。連盟がLSPAの女流3級と連盟の女流3級を同等とする点について疑問があるというのだから、それは連盟とLSPAの話し合いで解決されるのが普通。
③ 共同による女流育成制度を拒否されたことについて
 現在の将棋連盟には「女流棋士育成会」じたいが存在しない。現存するのは「研修会」で、研修会でC1資格を取れば女流棋士の「有資格者」となるだけで、その後女流棋士にならずに奨励会員になる、またそのどちらにもならないという選択肢も与えられている。斉しく女流棋士育成のみを目的としているわけではない。
 合同の女流育成制度を作る、または運営するというのは、連盟にとってはその女流棋士育成会を復活させることになる形になると思うけど、その囲い込みにどれだけ会員にメリットがあるのかは疑問(むしろ将棋の実力向上という面では損も多いと思う)。だいいち、性差を認める形で「女流棋士」の地位を確立させたいLSPAと男女による性差そのものを無くしたい将棋連盟の利害が一致するとは思えない。現存の研修会に近いものを共同運営するという形になるとしても、女流棋士有資格者をめぐってLSPAと将棋連盟で取り合いを始める、ということにもなりかねない。
 ただ、団体ごとで女流棋士を認める形にして、その規定について①で書いたような調整を行うというのなら賛成。
④ 対局放棄やスポンサー、連盟への批判について
 ここが一番気になるところで、この一連の「抗議行動」を見ていると、根本的にLSPAは将棋連盟と和解する気がそもそも無いのかな、と思ってしまう。同じLSPAでもエグゼクティブアドバイザーの中井広恵女流六段は将棋連盟との対話を求めているように思うんだけど、LSPA執行部は法的な拘束力を武器に要求をゴリ押すことを第一に考えている節がある。週刊誌報道を参考に「連盟がLSPAを潰そうとしている」だなんて、仲直りしようとしている人が使う言葉ではない。
 このままではマイナビ女子オープンだけの話ではなくなってしまう。混乱を嫌がるスポンサーが棋戦を降りて、多くの棋戦がなくなる、ということにもなりかねない。それはLSPAにも当然悪影響が及ぶと思うんだけど、LSPAはそれを望んでいるのだろうか。女流将棋界をめちゃくちゃにしてでも、将棋連盟と刺し違えたいのだろうか。


3・解決のための私案(和解するつもりの場合)
① 渡部愛さんに連盟の関わる主要タイトル戦をはじめ、他の女流プロと同様の参加資格を認める。ただし、将棋連盟の女流3級と同様に、2年で女流2級の要件を満たせなかった場合は女流3級の資格を取り消し、ツアー女子プロとして再び「研修」を行う。LSPAの女流棋士2級への昇級要件として連盟棋戦に関する昇級規定を追加すること。また、ツアー女子プロから女流棋士になる場合、年齢制限を設けること。
② 将棋連盟研修会員とLSPA女流棋士志望者の定期的な対局交流会を開催。昇級や資格取得に影響しない非公式戦として扱うが、対局結果を公表すること。
③ 対局拒否を行った石橋女流四段へのペナルティ。女流最高棋戦の準決勝を棄権しているわけだから、(和解するつもりなら)罰則はどうしても不可避ではないかと思う。どれぐらいかが妥当かはちょっと分からないけど、郷田真隆棋王竜王戦1組トーナメントを寝坊で不戦敗した際の罰則が「対局料不支払い・竜王戦月額手当年額の半分返納・1日ボランティア活動」なので、これと同じか、やや上下するぐらいが理想なのかな、と。

三番勝負 藤森哲也四段 vs 永瀬拓矢五段

先手をとった藤森四段が▲26歩からのゴキゲン、角交換振り飛車封じを再採用。永瀬五段は前局の向かい飛車ではなく、▽44歩を突かない四間飛車に組む。17手めの▲33角成がどうだったんだろうという気はする。相手は▽32銀の進出と角道オープンを両立させることはできないのだから(▽44歩を突かせれば普通の振り飛車になる)、角道を止めて松尾穴熊や高美濃に組むとか、もっと良い方策があったのでは、という気がする。結果論かも知れないけど、本譜は先手の駒組の遅れが露呈した感じになってしまった。▽84金からの受けを見せた永瀬五段の勝ちで、若手棋戦を二つ制覇した形に。

中尾敏之五段 vs 藤森哲也四段

先手中尾五段が3手目▲66歩で、藤森四段に飛車を振らせてから▲48銀。たしかに居飛車党の藤森四段に振り飛車を指させればそれだけで○、という見方もできるかも知れないけど、陣形に制限が加わるなどデメリットも多い。本局は▽64歩で位取りを消してたのが機敏だったと思う。先手端歩位取り銀冠vs後手石田流穴熊(本日2度目!)となり、先手手詰まりとなって▲55歩と突いたけど、上手くいかなかった様子。飛角と金銀3枚の交換で玉に迫り、部分部分で「?」という手も出たけど、最終的にはやや一方的な内容で藤森四段の勝ち。次戦は佐々木勇気四段との対局とのこと。新人王戦のリベンジマッチですね。

決勝3番勝負 永瀬拓矢五段 vs 藤森哲也四段

後手藤森四段の誘導で先手位取り中飛車へ。相穴熊となるも、藤森四段が袖飛車を警戒しすぎたのが陣形の遅れの差として出てしまったか(そもそも位取りをされている分角の動きに制限があり、この戦法じたい後手辛い印象がある)。尤も永瀬五段もやや待ちすぎな手やらしくない手で小ミスを続け、何度か形勢が逆転する複雑な展開が続く。最後はかろうじて先手が残していたという感じだった。個人的には藤森四段を応援していたがゆえに、ちょっと残念。