LSPA「日本将棋連盟による女流棋戦からの排除行為について」について

http://joshi-shogi.com/lpsa/news/kyukoku_20130408.html
 以前まではまだはっきり主張したいことがあり、その解決のために行動を起こしている感じでしたが、今回はその主張が文章から消え去り、たぶんこれから起こす「具体的な行動」のために世論を得ようとしている印象でした。
 以下、一部を引用しながら、読んだ印象を書きます。

 先ごろ発表された第35期霧島酒造杯女流王将戦の予選組合せで、
当協会所属棋士のうち石橋幸緒四段と渡部愛3級の2名が排除されました。

 経緯を簡単に書くと、石橋女流四段は渡部女流3級に関する処遇を不服とし、LSPA代表理事としてマイナビ女子オープンの契約解除を通告、また対局者としてマイナビ女子オープン戦の対局を放棄。その後、将棋連盟(以下、連盟)との交渉も不調に終わり、対局放棄のペナルティとして石橋女流の連盟棋戦についての事実上の無期限出場停止、また渡部女流の処遇もアマチュア同様のまま。

日本古来の文化振興を標榜する公益社団法人日本将棋連盟(以下、「連盟」とする)が、
同業の公益法人である当協会に対して、永くに渡り陰湿ないじめ・業務妨害行為を
繰り返していることは、プロ棋士をはじめスポンサーや報道機関関係者を含めて
将棋界に接点のある多くの関係者は認識していることと思われます。

 LSPA側の発表としていくつかは知っておりますが、渡部女流の件で将棋連盟と交渉しているあたりで、その件は渡部女流のためにある程度水に流しているものだと思っておりました。しかし、交渉が不調に終わったため、今回また引っ張りだしてきたという印象です。

 本件に於ける表面事象は、去る1月のマイナビ女子オープン準決勝戦の前日に当協会所属棋士石橋幸緒四段が対局断念を発表したことに連盟が反応したことによるものです。
 しかし本質と実態はその1局の対局の問題ではありません。
過去からの業務妨害行為、名誉棄損行為、強要、脅迫、自治権侵害等、数え切れないほどの
連盟側の不当行為があったうえで、苦渋の決断として先般の事象発生があるのです。

 ここが一番看過できない。対局拒否は前述した通り、渡部女流の処遇を巡って、マイナビと連盟に対して行われたもののはずです(引用中で触れられている「不当行為」は経緯としては二次的なものです)。対局拒否の理由を都合よくすり替えてはいないでしょうか。文章全体としても、渡部女流のことがわずか2行しか触れられていなかったことが残念です。

 前記の女子柔道界問題でも被害者が所属機関に訴えたが叶わず、その上部団体に直訴して、かつオリンピック誘致に差しさわりが出るに及んで、初めて事態は改善に動き出したかに見えます。
 学校のイジメ問題もまたしかりです。被害者が学校に訴えても見て見ぬふり。教育委員会
言っても同じ。最後に警察権力が動き出してはじめて事態改善に動き出す有様です。
 繰り返しになりますが女子将棋界の問題も、これらと全く同じ構図なのです。

 「将棋界」というものは一つの学校でも選手団でもなく、連盟やLSPA、詰将棋連やアマ連といった団体を含め、それぞれ別個の団体です。連盟がLSPAにちょっかいを出したことが業務妨害であったとしても、いじめやハラスメントというのとは違います。業務妨害を訴え出るのは良いのですが、女子柔道や学校のいじめの例を持ち出すのは違うと思うし、事態に詳しくない人間の同意を得ようとするための牽強付会に映ります。

 また、これら問題については既に公的機関の察知するところとなって現在調査が進んでいると
聞き及んでおります。将棋界の健全な発展のため、スポンサー各位ならびに報道機関各位には
賢明なるご判断を心よりお願い申し上げます。

 LSPAがよく使う連盟・スポンサー(報道機関含む)への「脅し」の言辞。ただし以前は「公正取引委員会」と言っていたものを「公共機関」と改め、「被害者として聴取を受けている」と言っていたものを「現在調査が進んでいると聞き及んでいる」と表現を改めたことが気になります。

 なお、今後の具体的な行動につきましては別途公表の予定ですが、
取り急ぎ今回の事象についての事実関係と背景等をご報告させて頂きました。

 「具体的な行動」というのはおそらく、裁判所や「公共機関」への告訴、LSPA全棋士の全連盟棋戦ボイコットが考えられます。提訴は連盟でなくても想定されるところではありますが、ボイコットは連盟・スポンサーからの逆告訴も考えられるところです。

 ただし、それによって何を要求しているのかが、今ひとつ理解できません。文章を見る限り、石橋・渡部両女流の対局権限を与えるだけで事が収まるようには到底思えないのですが。

===

 気になったのは、渡部女流3級がこれからどうするのか。最終的には彼女の人生ですが、個人的に、もし彼女が自分の娘だったら、現状は間違いなく将棋連盟への移籍を薦めます(女流3級からスタートするにしても研修会に入るにしても)。今週の「週刊将棋」に彼女の将棋が紹介されていましたが、彼女が言う「タイトルが取れる女流棋士」になるには、男女問わずもっと強い人と指し、男性プロ棋戦の記録係を務めたりといった経験の積み重ねがもっと必要なんじゃないかと、(所詮素人の感想ですが)そんなことを思いました。ただもちろん、彼女は彼女でLSPAに強い愛着もあるでしょうし、難しいところです。