永瀬拓矢五段 vs 木村一基八段

先手永瀬五段の初手▲56歩からの先手中飛車(木村八段が純粋居飛車党であることを見越したうえで、▽14歩問題が解決していない石田流にしないための手段かなと思う)。角交換型になり、先手が良くなるものの、木村八段の攻めを見て自信をなくしたのか最終盤で千日手を選択。後述するけど、千日手としてはやや先手が消極的というような内容。対局直後、銀で取る方法を指摘する木村八段の口調はどうも不満げに映った。指し直し局は後手ゴキゲン中飛車に対する先手二枚銀。木村八段が綺麗に攻めきり、最後は相手の駒不足を盤上で示して勝ち。

「強い将棋」と「勝つ将棋」は違うんだな、という感じだった。千日手か否かというシーン、「強い将棋」を指そうとする人ならリスクに飛び込んで勝負をするけど、「勝つ将棋」は漠然としたリスクを排除しようとするから千日手を選択することにはなる。「強い将棋」は負ける可能性も勿論あるけど、そういう「修羅場」の経験は棋士としての成長に確実につながる。だけどそういう修羅場を経験しない「勝つ将棋」は、確かに目先の将棋に勝つことはできるかもしれないが、それが長期的に見ておトクという気はしない。

復興予算②

http://getnews.jp/archives/249819
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012091690070712.html

 政府は、東日本大震災の復興財源について、所得税や住民税の増税などで一一年度から五年間で計十九兆円を確保した。だが、津波で甚大な被害を受けた沿岸部の被災地へ十分に回っていないことや、被災地以外の公共事業などに使われていることに疑問の声が上がっており平野達男復興相は実態調査を財務省に要請している。

東京新聞より)

 東日本大震災の復興予算は、被災地の復興に加えて「活力ある日本の再生」が編成の目的とされた。そのことで、復興を口実にした各府省の事業予算の分捕り合戦が起こり、復興とは無関係な事業にお金が回る事態に陥っている。
 原子力機構が研究費を復興特別会計から計上したのもその一例で、被災地のためではなく、予算をより多く確保したいという姿勢の表れでしかない。
(同・宮入興一・愛知大名誉教授(財政学)の話より)

復興予算①

http://mainichi.jp/feature/news/20120913dde012040011000c.html
以下抜粋。

「港の復興は進んでいないし、津波に襲われたJR仙石線の野蒜(のびる)駅は3・11から放置されたまま。復活を目指す中小企業への支援も進まない。復興特会にシロアリの集団が群がって、被災地以外に予算が使われているからだ」
「復興予算は東日本地域の復興や被災者の生活改善のためにこそ使ってほしい。それ以外の事業が必要なら、各省庁が一般会計で予算要求すればいい」(新党きづな斎藤恭紀氏)

「なぜこんなことが可能なのか。それは「震災を教訓として、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための施策」には予算が認められるからだ。」
(赤字引用者)

総務省によると、震災で甚大な被害を受け、本庁舎の建て替えが必要なのは13市町あり、ひとつも着工には至っていない。それなのに復興予算で、霞が関では着々と耐震工事を進めているわけだ。」

「被災地から住民が流出すれば被災地復興に投じる予算は減る。政府や財務省は復興を遅らせることで住民を減らし、予算を余らせることを考えているのでは」
「今や復興特会の事業仕分けが必要なんです」
自民党小野寺五典氏)

震災遺構

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/09/20120914t11030.htm

石巻市は現在、市民や学識経験者らでつくる「市震災復興推進会議」で、門脇小を含む被災建築物を「震災遺構」として保存するかどうか議論している。

 個人的には震災遺構という考え方は疑問です。石碑を建てるとかの方法もあるはずだし、震災の傷を観光スポットにしようというような、そんなうがった見方をしてしまう。

検索結果にお答えします。

最近強くなった本田女流
 感想戦コメントなどを見ると終盤を苦手とする自覚があるみたいで、その分序盤で積極的にリードを奪い、そのリードを活かしたまま逃げ切るという印象があります。女流棋士は定跡形を得意とするいっぽうで力戦を苦手とするタイプが多い印象があるのですが、力戦調になりやすい本田小百合女流二段の将棋はそのなかで「得」をしているというか、そういう気はします。
 ただ、女流王座戦五番勝負については未知数です。力戦含みの相居飛車シリーズになると思われますが、基本的に経験で勝る本田女流が序盤をリードし、加藤桃子女流王座が追い上げるという構図が続くのではないでしょうか。

佐々木勇気四段 vs 藤森哲也四段

 矢倉の出だしから後手藤森四段が急戦を匂わせるも先手佐々木四段が拒否し、同型矢倉へ。入院中の門倉啓太四段が「藤森四段が同型矢倉で負けているのを見たことがない」という、なんとも凄いことを書いていたけど、詰めろを含む佐々木四段の猛攻をかなり受けながらも、勝負手のような受けを連発、入玉を決めて勝利。プライドが為せる業なんだと思う。勝てる将棋と思っていたのか、佐々木四段が終局後、顔を伏せてうなだれていたのが印象的だった。順位戦を含め、将棋は技術じゃないんだとつくづく思う。

渡辺明竜王・王座 vs 橋本崇載八段

 A級順位戦では6期ぶりだという二十代対局。後手橋本八段がいままで採用してきたノーマル三間飛車を止め、角交換振り飛車を選択。渡辺竜王は手に乗って固める方針で4枚矢倉に固め(竜王はここらへんの手作りが非常に上手い)、後手は飛車交換からの受けやすい展開を作る… と思っていたら、飛車角を打ち込まれ、あわや受け無しのピンチに。一時は驚異的ともいえる粘りを見せて受け続けるも、馬取りを受ける▲36銀をみて早々と投了。批判はどうしても集まると思うけど、内容的には止むを得ないというところ。先手の攻めはほぼ切れない状態だし、先手陣は4枚矢倉が全く手つかずで、取り立てて有効な攻めも無いというのが痛い(飛車が敵陣に打てればまだやりようもあるのかもしれないけど、それも望めない感じ)。

 後手角交換振り飛車はフラッと指せる戦法ではないって、つくづく思う。これを指している棋士ラクに勝っているイメージが無い。ただ、この将棋に関してはそういう技術の問題云々じゃないのかも知れない。あくまで多分だけど、何かトラブルを抱え込んだまま対局に臨まなければいけなかったとか、そういうことだったのかな、という印象。