王位戦(53)挑戦者決定戦 渡辺明竜王vs藤井猛九段

 前対局に引き続き藤井九段が四間飛車藤井システムを採用したのに対し、先手渡辺竜王が▲55角と出て、変則的ながら急戦を牽制する形に。小さな駆け引きや仕掛け等が入りつつ夕方頃まで固め合う長い展開へと進む。藤井九段のほうに不利な要素(持ち駒、残り時間、歩越し銀など)が多いかな、という印象だったんだけど、夕方頃に藤井九段が角銀交換からの攻めを敢行。そして▲48歩と両取りを受けられたあとの▽33桂が燃え上がるような一手。それに呼応してなのか、渡辺竜王も両取りを甘受して攻め合いに出ようとするが、さらに流れを変える藤井九段の受けが炸裂、1時間で優劣不明、もう1時間で逆転。渡辺竜王の囲いをはがしてあとは寄せ・・・というところで渡辺竜王の驚異的な粘りや藤井九段のミスも出て、再び優劣不明に(116手目▽67同銀不成が疑問?)。しかしそれでも藤井九段が自陣の鉄壁を頼りに攻めて攻めて攻め倒し、最後は必至をモノにして勝利。

 これで藤井九段のタイトル挑戦が決定、しかしそれ以上に名局。粘り抜く渡辺竜王も藤井九段もかっこ良かった。対局者(と、それを記録していた黒沢怜生三段)に拍手を。