最強戦(20)Dブロック 杉本昌隆七段vs阿久津主税七段


 升田式石田流の出だしから先手杉本七段が▲68金から金を繰り出す急戦策を取り、じっくり指す方針だったと思われる後手阿久津七段が一度苦しむ状況に(阿久津七段曰く▽94歩の手抜きが裏目に出たとのこと)。ただ、▲36歩(図)と受けたところで▲55角→▲77角と収めておいたほうが良かったみたいで(飛車のコビンを狙うにしても銀が重石になっているため、思ったほどラクではない)、後手が▽45歩→▽35歩と、手を作ることに成功。全体的につっぱり合いというか、両者ギリギリの対局ではあったと思うけど、最後は角ー金銀の二枚換えと飛車のサバキに成功した後手の勝ち。将棋らしい将棋というか、とてもスリリングな対局だったと思います。

 また、4手目に▽14歩の様子見があったけど、今回は▲16歩と合わせ、将棋としての大勢には影響の無い結果になった(その一手を▽94歩にかければ…と考えれば手損という見方もできるけど)。2手目▽32飛対策のような手が出てくるようだったら問題だけど、そうでないのなら▲16歩と合わせるのが一番無難なのかも知れない。以前も書いたけど、居飛車に▽15歩とやられる形はやっぱり良くはない。