意外に強敵? -対石田流▽15歩

 戸辺誠六段のブログ「対局の結果」より。


図は▲4八王と上がった局面ですが、△8八角成▲同銀△4五角と打たれ、以下▲7六角△2七角成▲4三角成△3二銀と進みました。△4五角には▲7六角と打ち返すのが形で大丈夫とされていますが、後手が△1五歩型の場合は△1六歩からの攻めがあるところので、ちょっと危険だったかも知れません。▲4八王では▲6六歩や▲5八金自然なところで一局だったと思います。実戦はいったんは収まり駒組になりましたが、作戦負けから押し切られました。


 この戸辺六段対高崎五段(この対局の勝利により高崎五段は六段へ昇段)の棋譜は知らないけど、石田流に対して▽15歩と突き伸ばした将棋を少し前に見た。昨年12月に対局が行われたFブロック7回戦、安用寺孝功六段対宮田敦史六段戦、石田流本組の進行から▽15歩の突き伸ばしが行われた。

 今回の将棋とは違い、本棋譜では既に角道が止められていたため、いわゆる石田流本組対美濃囲いの進行になる。

 後手が端に2手をかけているため、後手の駒組が遅れているようだけど(▽33角▽22玉の手が入れられてない)、先手は先手で、美濃囲いの▲16歩が突けないのが痛い。解釈は人それぞれではあると思うけど、互角か、後手やや良しぐらいの別れなんじゃないかと思う。この後、先手は▲65歩からサバきはしたものの後手玉が広く寄せられず、結局後手勝ちとなってしまった。

 なんとなくの印象でしかないけど、石田流に対する▽15歩って、けっこう大きな対策ではないかと思ってしまう。少なくとも今までのように石田流の側から安易に角交換歓迎とは行きづらくなる。戸辺六段は▲58金または▲66歩で一局としているけど、囲い合いになってしまえばじわじわと端歩が活きてくるような。冒頭の図のような状態から急戦に行く手があるのかどうかがまず一つ。▽14歩に▲16歩と端を応えられれば怖くもなんともないかも知れないけど、それでも急戦的な展開になると▽15歩と突かれてかえってお手伝いになってしまう不安がつきまとう。自分も指す戦法ということもあるので、今後どういう方向に進むのか、ちょっと気になるところでもある。