永瀬拓矢五段 vs 菅井竜也五段

将棋世界2012年9月号より、棋譜並べなることをしてみる。双方振り飛車党で、メールを通じて情報交換をしている間柄というのを以前聞いたことがある。イベント的要素の強い棋戦ということもあってか、
「今回の勝負に勝ったほうが格上になる」(永瀬)
「強敵は他にもたくさんいるので彼(永瀬)一人を意識することはない」(菅井)
と、お互いかなり強気の発言も目立つ。勝負は先手永瀬の石田流に対し、後手菅井が相振り飛車ではなく居飛車へ。ダイヤモンド美濃vs銀冠穴熊の闘いに流れ込むが、永瀬が手を間違え、あわや敗勢というところまで追い込まれてしまう。しかし菅井がノータイム指し連発で詰み筋を逃し、永瀬の粘りを許す形に。菅井も好手の連発で食らいつくが、最後は菅井のほうに敗着が出て、永瀬に受け切られてしまった。
昨年は銀河戦・最強戦・朝日杯・NHK杯と早指し棋戦を中心に大活躍を見せた菅井五段だけど、今期に入ってからどうもついていない印象を受ける(朝日を除く、冒頭に挙げた棋戦での不出来、順位戦C2次点、竜王戦6組決勝敗退など)。もっとも、記事を見る限り、荒れているというか、理由はわからないけど冷静さをなくしているような印象だった。
あと、同じネット世代の棋士にも言えることだけど、今のうちにノータイム指しの癖を取り除かないと、後になって取り除くのは大変。菅井五段にとって、この1〜2年は棋士として大成できるかできないか、その正念場にいるような気がする。