女流王座戦(2) カロリーナ・ステチェンスカさん(アマチュア)vs高群佐知子女流三段

カロリーナさんはポーランド出身の大学生。2008年ごろ、漫画の「ナルト」をきっかけで将棋をはじめ、フランスで行われた国際将棋フェスティバルで4位(女性としては最高)を獲得した実力者。プロ志望であり、10日前に来日し、将棋道場で特訓を積んでいたという熱心さは目を引く。棋力としてはアマチュア三〜四段程度とのことで、女流棋士相手だったら互角以上の対局する可能性は全然ある。
先手のカロリーナさんが2手目▽84歩に対し▲75歩と強引に石田流へ。久保利明九段をはじめとし、一般的に良くないとされる形ではあるけど(▲77角があるため石田流に組みづらいうえ▲75歩が不急の一手で、相手に争点を与える等苦労が多いとのこと)、ひょっとしたらプロが研究しないだけで、実戦的には全然アリなのかも知れない(「将棋世界」連載の「イメージと読みの将棋観」で出て来そう)。対して後手は銀冠をチョイスし、結果的に石田流本組に近い将棋の進行へ(後手石田流感覚で指してしまったか)。居飛車側から仕掛けるものの▲46角にはじまり少ない駒数で手を作って行くカロリーナさんの手腕はなかなかのもの。ただ、とりあえず打った▲45桂の効きが微妙だったらしく、守勢に回る展開に。突然▲33香を放ったものの駒が(素人目には)足らず「無理だったのかなぁ」と思っていたところで詰めろ飛車取りとなる▲68角を一閃。その後も駒不足な状況が続き、紆余曲折はあったものの、最後は勝負手と言える▲61銀を取らせ、見事に詰ませきった(ただ、▽63銀とかわせば詰まなかった可能性もある)。予想以上の激闘、思わずパソコンの前で拍手をしてしまいました。