Dallas Green (ex.alexisonfire, City And Colour)


はじめてALEXISONFIRE(AOF)の音楽を聴いたのは2001年とか、彼らがデビューしたての頃、CSの音楽番組で。一度ではすぐに覚えられないバンド名と、叙情的なメロディ、それと真っ向から対立するスクリームは観てて正直結構なインパクトがあった。スクリーモというジャンルがあることを知ったのはその後だけど、私自身はスクリーモというものにはそれほどのめりこまなかった。それより少し前にはやっていたミクスチャーロックと同様粗製濫造が繰り返され、やがて廃れて行くなか、AOFはあくまでもスクリーモにこだわり、「CRISIS」でよりシニカルに、より音楽的に深みのあるバンドへと変貌していく。
洋楽を聴いているとついつい歌詞を軽視しがちだけど、AOFは歌詞が好きだったりする。一つ挙げれば"Drunks, Lovers, Sinners And Saints"という曲の最後の歌詞「時間を無駄にしないでくれ | 沈みかけの船を行ったり来たりして | それなら溺れたほうがマシだと思うけどな | あぁ、溺れちまったほうが良い」とか。ほかにも廃墟と化した街を歌い上げた歌のタイトルに"This Could be Anywhere In The World"と付けたりするそのセンス。次に出した「Old Crows / Young Cardinals」では、賛美歌「Roll Jordan Roll」を素地に「The Northern」という恐ろしく重厚な曲を作り上げてしまう。一種暴力的だが、「男らしさ」とでも言うような毅然とした態度とどこか繊細な内面とが同居する、それがAOFの最大の持ち味であり、それがまたスクリーモである「必要性」だったのかな、と思う。

AOFは昨年解散した。ほかならぬボーカル&ギターのDallasがソロ活動の「City And Colour」(このプロジェクトも恐ろしい)が多忙になり、その活動に専念するためだということで、しょうがないかなと思う反面、勿体ないなという気分もある。theonlybandever.com という強気なドメインを使っていたけど、10年の活動を経て、この人達は本当にthe only band everになったと思うから。何か一枚しかCDを聴いてはならぬとなったら、「Old Crows / Young Cardinals」以外には無いと思うぐらい、AOFは好きなバンドの一つ。